ありえないから


私は顔を小さく横に振った


それより…そんなことよりも


こんな事してる場合じゃない!!


今何時?


私は壁に賭けられている時計に目を向けた


もうこんな時間


ここは学校まで少し距離があるからいつもより時間がかかる


そろそろ学校行く支度しないと……


私は陽生の様子を伺いながら、起こさないように寝返りをうつ


そっと陽生の腕をどかして、ベッドから抜け出ようとした



『どこ行くんだよ』


『えっ』



でもその瞬間、どかしたはずの陽生の腕が再び私の体に巻きつき、体を引き寄せられた


えっ…


『ちょっ!なにす……』


『俺を置いて何処に行くつもり?』


陽生は寝ぼけまなこの声でそう言うと、再び私を後ろからギュッと抱きすくめた


『な!…ちょっと、行くって学校に決まってるでしょ!?
なに寝ぼけたこと言ってんのよ!!』


『ん?学校?…行くの?』


行くのって…


『当たり前でしょ!!何言ってんのよ!
わけの分からない事を朝っぱらから言わないでくれる!?』


私は陽生の腕を解こうとじたばた体をバタつかせた


『分かったら離して!!』


けれどそんな私の願いも虚しく



『ダメ、行かせない』