『えっ』
『果歩から俺にキスして』
『は?』
突然陽生は突拍子もないこと言いだすと、私の唇を親指でなぞった
唖然とする私をよそに、お得意のキラースマイルで微笑みかける陽生
私はそんな陽生に思わず目を丸くした
『ば、ばか!何で急にそーなるのよ!!』
『ん?してくんねーの?』
『し、しないよ!する訳ないでしょ!?
どさくさに紛れて何言ってんのよ!!
急に変なこと言わないでくれる!?』
何考えてるのよ、まったく……
本当、油断も隙もあったもんじゃない!
呆れ顔で陽生を睨みかけようとしたら…
『嬉しかった』
『えっ』
『果歩が俺を頼ってくれて』
『へ?』
『果歩が他の誰でもなく俺に甘えてくれたのがたまらなく嬉しいよ』
陽生は目を細めて私を見つめると、手の甲で優しく私の頬をそっと撫でた
『べ、別にそんなつもりじゃ……』
そんな陽生に私は咄嗟に顔を赤くした
う……
思わず言葉に詰まってしまう
ずるい、卑怯だよ
そんな顔でそんなこと言われたら何も言えなくなるじゃない
私は恥ずかしさと気まずさで目を逸らし、顔を俯いた
だけど…
『果歩……』
その陽生の声と共に、突然顎を掴まれ、強引にまた前を向かされた
『今日みたいなあんな声他の男に絶対聞かせるなよ!』
『えっ?』
『果歩は俺だけを見て俺だけに頼ればいい……』
そう言うと陽生は目を細め
『え?それってどういう……んっ!?』
私が問いかける間も無く、一瞬にして陽生に唇を塞がれた



