甘い体温


『て、言ってるけど、あんたこいつの女?』


『えっ』



突然話を振られ、ずっと二人のやり取りを傍観していた私は驚いてスーツ男の方へ視線を移した


感情を露にしている男とは対照的に、至って冷静な態度で私に問いかけるスーツ男



『は?こんな男知らないし、ていうか、ストーカーされてまじ迷惑!!』



早く私の前から消えてほしい…


私は一瞬ストーカー呼ばわりした方の男を見ると、すぐにそっけなく視線を外した



『おい!三月、てめー!!』



私の言葉を聴いた途端、再び激怒した男が私に遅いかかろうとした



だけどその瞬間



『ってぇ〜〜!!』



男の悲痛な叫び声が響き渡った



『暴力はよろしくないな~!ストーカー君』



スーツ男は、男の腕を背中の後ろにねじって固定し、車のボディに男をガッチリと押し付けていた



『だ、誰がストーカーだよ!
ってえ!…は、離せ!!』



あまりの動きのすばやさに私は唖然とし、その光景をただ見ていることしかできなかった