甘い体温



『…お願い…』


『かほ……』



必死に陽生に震えながらしがみ付く私に、応えるように陽生は再び私を力強く抱き寄せた



『大丈夫、行かねえよ!果歩を置いてなんかいかない
絶対一人になんかさせないから』



そう言うと、陽生は私の頭を自分の胸に押し付けるともう片方の手で背中をぎゅっと抱きしめてくれた



『俺はどこにも行かない、ずっと傍にいる、だからもう安心しろ!』



陽生は耳元で私に言い聞かせるように力強く言葉にする


その瞬間、陽生の甘い匂いに包まれて驚くほど安心していく自分に気づいた



……ずっと傍にいる



とても優しい声だった


それは一生私には無縁だと思っていた言葉で


こんなに嬉しいものだなんて思ってもいなかった


心の奥底から今まで感じたこともない温かさが湧き出てくるのを感じて……


こういう気持ちを正直なんて言うのか私は知らない


けれど、とても穏やかな気持ちに満たされていくのを体全体で実感していた










それから少しして警察が数人来て、いろいろ取調べやら、現場検証などをして家の中や家の周りに怪しい人物がうろついてないか調べてくれた


私と電話をきった後、すぐに陽生が警察に電話してくれたみたいだった


警察が言うには最近この当たりに空き巣が多発しているというもの


私は警察の話を聞きながらやっと本当に安心できて、ほっと肩を撫で下ろしたのもつかの間


ふと、大事な事を忘れている事に気づき、私は慌てて部屋の中に飛び込んだ