『果歩!!』
陽生は私を見つけるやいなや私を荒々しく抱きしめた
『はるっ……』
私の存在を確認するかのように、陽生はきつく強く、私を抱きしめる
『果歩無事か?何もされてない?』
私は返事の変わりに陽生の背中に腕を回し、陽生にギュッとしがみついた
そしてうまく言葉が出せない変わりに、何度も首を縦に振って頷いた
そんな私を見るなり、陽生はホッと肩の力を落とし
『もう大丈夫だから…俺がついてるから…』
そう言うと、陽生は震える私の体を何度も何度も優しく撫でてくれた
私もそれに応えるように、陽生の胸に顔をうずめて、力強くシャツを握りしめる
陽生のたくましい胸に抱きしめられ
大きな手に背中を撫でられた私は、ようやくほっと安心でき、次第に緊張がほぐされていくのを感じた
だけど…
ガタッ…
そんな時、再び部屋の奥から小さな物音が聞え、私と陽生の体がビクッと強張った
ドクン!
再び私の体に緊張がはしる
物音を聞いた陽生は、そっと私を引き離すと様子を見に立ち上がろうとした
だけど、そんな陽生に私はすかさず背中に腕を回して力強く抱きついた
『やっ!行かないで!!』
『えっ』
『やだ!行かないで!!
お願い、一人にしないで!!』
再び私の体は震え出す
心細くてたまらない
私は陽生の傍から離れたくなくて
一人になりたくない一心で、子供が駄々をこねるように必死で陽生にしがみ付いていた



