甘い体温



――…誰かこっちに来る!?



やだ!怖い!



直感的にそう思った私は、目の前のトイレの存在に気づき、慌てて中に駆け込むとドアを閉めて鍵をかけた


トイレの隅に体を縮めてしゃがみ込み、息を殺してそっと様子を伺う


……どうしよう


こういう時どうすれば


どうすればいい?


パニクってる頭で必死に考える


あまりの怖さに息がうまく吸えない


警察?そうだ警察!


そう思った私はカバンからケータイを取り出すと、震える手でボタンを押そうとした


『おい!誰かいるのか?』


けれどその時、突然知らない男の声が聞え、すぐさまボタンを押す手の動きを止めた


ドクン、ドクン…


必死に息を殺して気配を隠す



……。



もう私は恐怖以上のものを感じて、完全に自分を見失っていた



――…殺される?



私の頭の中に浮かんだ5文字の言葉



やだっ


誰か……




『…気のせいか?』



思わずぎゅっと目を瞑った瞬間、男が諦めて私の前から遠ざかる足跡を聞いた私は


頭で考えるより先に、何かに導かれるようにケータイのボタンを押していた




お願い誰か


誰か助けて……