甘い体温


そう思ったその時だった――…





『誘拐はまずいんじゃない?』





えっ…




もうだめかと思ったその時、突然聞えた見知らぬ男の声と共に、掴まれていた腕の痛みが解放された


手が自由になると私はすかさず自分の腕を庇い、顔を上げた



『えっ…』


『な、なんだよ!てめー!』



見上げたその先には


今まで私に偉そうな態度をとっていた男が、スーツ姿の見知らぬ男に腕をガッチリ捕まえられて顔を歪ませている姿だった



助かった?



『さすがに誘拐はよろしくないんじゃない?』



そう言ってスーツ姿の男は爽やかなスマイルで男に話しかける



『は?誰だよてめーは!?
人の女どうしようが、てめーに関係ねーだろ!!』



男はスーツ姿の男に掴まれている自分の手を振り解こうと抵抗する、けれど男の方が上手みたいで全然びくともしない様子



『何?この子、あんたの女なの?
それにしてはかなり嫌そうな感じだったけど?』


『ああ、そうだよ!俺の女だよ!!…だから離せよ!!』