甘い体温



『待ってる』


そう通話口から聞えてきた陽生の声が、とても穏やかですごく優しいものだったから


またしても、私の胸はまたグッと詰まった感じに襲われて、何も言葉が出てこなくなってしまった


『……』


そのあと、お互い少し無言になってしまい、気まずい空気が流れた


まぁ、気まずいと思ってるのは私だけかもしれないけれど?


ほんの数秒の間のことなのにやけに長く感じた



『それじゃあな』


何も言わない私に、沈黙を破るように陽生はそう告げ、電話をきろうとした


『あ、ちょっ…』


だけどその瞬間、何故か今度は私が声を出して陽生を引き止めていた



『ん?』


『あ、いや、その…気が向いたらね』


『え?』


『だから…その…何て言うか…』



思わずまた言葉に詰まる私


だけどそんな私の様子にすぐに感づいた陽生は


『はは、ああ、期待して待ってるよ』


笑いながら私に言った


嬉しそうに笑う陽生に私はもう、電話ごしで苦笑いを浮かべるしかなくて


そんな私に最後「学校がんばれよ」と陽生は言い残して今度こそ電話はきれた


……。


電話がきれた後、何故か私はそこにしゃがみこんでしまい、しばらく動けなくなってしまった


何してんだろ…私


思わず一つ、ため息を吐いた私は髪の毛をクシャっと掴み膝に顔を埋めていた