甘い体温



『果歩?』


通話が繋がったとたん、陽生の声が聞えた


それはいつもより少し低めの声で


その声に何故か、ドクンと心臓が跳ねた気がした


私は心の中で深呼吸をすると、いつものようにそっけなく口を開いた



『…何?』


『果歩、お前無事か!?』


『は?』



陽生の言葉に目を見開いた私


直輝といい、この男といい…第一声が無事かって…



『…別に無事だけど?』


『本当か?』


『嘘ついてどうすんのよ…』


『そっか、無事か…それならいいんだ…』


すごく安心しきったような陽生の声


その声に私は首を傾ける


『だからなんなの?』


『ああ…昨日まだ体調悪そうだったからさ、ずっと気になってたんだよ…

夜電話しても繋がらないし、ホテルにも来ないし、またどこかでぶっ倒れてるんじゃないかと思ってさ…』


『え?』



倒れるって…私が?



『ったく…それならそうと電話ぐらい出ろよな!心配で一晩中起きてただろ!?』


『はぁ?』



そんなこと言われても


一晩中ってのは大げさでしょ?


心配してくれるのはいいけど、何で私がそんな言われ方されなきゃいけないよ!?



『あのねえ、ずっと寝てたんだからしょうがないでしょ!?
それにそもそも誰も心配してなんて頼んでないし…』



少しイラついた私は、すかさず冷たく言い返す


そんな私の態度に、ケータイ越しから陽生のため息が聞えてくる



『お前ね〜、そんな言い方はないだろ?俺がどんな気持ちでずっと…
て、つーかおい、寝てたってお前、何処で寝てたんだよ?』