甘い体温


はぁ…最悪……


いったい何なの?



『何って…そのままの意味だけど?』



私は肩に置かれていた男の手を振りほどくとキッと睨みつけた



『まじ意味分かんねー!
電話しても繋がんねーし、俺達付き合ってたんじゃねーの!!』


『は?付き合ってないし』



私は即答した


何言っちゃってんのこの男!?


意味分かんないのはこっちなんだけど…



『用はそれだけ?そんなくだらない事なら私はもう行くから』



男から視線を逸らしすばやく離れようとしたその時、すかさず手首を掴まれた



『ちょ、待てよ…俺の事好きなんじゃないのかよ!!』



声を荒らげて私に必死に訴えかける男に苛立ちが募る



『好きじゃないし』



つーか、何必死になってんの?


ありえないんだけど…



『は?何だよそれ!!
じゃあ何で俺と何度も寝たんだよ!』



男にギュッと腕を強く握られ、痛さのあまり私は少し顔を歪ませた



はぁ…



そんなの、言わなくても普通分かるんじゃないの!?


お互いただの遊びでしょ?


そんなの暗黙の了解じゃない!



まじでこいつうざい!



私は冷めた表情で男を真っ直ぐ見つめると、冷たい声ではっきりと言っ放った



『ご飯食べさせてくれるから』


『は?』


『ただそれだけ!
別にあんたの事は好きでも何でもないし、ただの遊びだから』