甘い体温


『や、やめてよ!何?今度は泣き落とし!?
そんな言葉なんかに騙されないから!!』


私は無駄だと思いながらも、陽生の胸を思いっきり押し返そうと突っぱねる


けれど案の定、私を抱き締める力は強くなるだけで…


『ずっと怒りも悲しみも、誰にもぶつけられなくて自分の中で無理やり閉じ込めてきたんだよな』


『やだ!やめて!!』


そんな言葉聞きたくない!!


私は必死で聞きたくないと首を振った


陽生の言葉が私の胸をざわつきたてる


『辛かったよな…でももう何も怖がらなくていい

今俺に言ってるように思った事を素直全部に口に出せよ

もう我慢することなんかないんだよ、果歩の何もかも俺にぶつければいい』


陽生の驚くほど優しい声が、私を激しく波立てる



も…やだ!何も聞きたくない!!



『もう、本当にやめ……』


『受け止めるから』



陽生の熱い言葉に鼓動が高鳴る



『俺が果歩の全部を受け止めてやる

俺は果歩を絶対裏切ったり、一人になんかさせない

守るから…俺の全部をかけて果歩を守ってやる

だから……』


その言葉と共に、陽生の腕の力が強くなる


『だから安心して俺に甘えればいい…ていうか俺に甘えろ』


陽生の力強い腕と声


耐え切れなくなった私は、とっさに陽生のシャツをギュッと握り締めた