甘い体温


『果歩、一人は寂しいぞ〜

本当に一人になった時、お前が想像する以上にきっと寂しくて耐えられなくなる』


『だから分かったような事言わないでよ!

別に私はかまわないし…そうなったらきっとせいせいする

あんたの望み通り無人島でもどこでも行ってやるから!』


『…ったく…』


私の言葉に呆れたように一つため息を吐いた陽生


『ほ〜んと意地っ張りだな〜果歩ちゃんは
ま、ある意味真っ直ぐで素直だけど…』


陽生は私を見ながら苦笑いを浮かべた


そんな陽生に私はもう苛立ちを隠せるはずもなく


『もう、うるさい!バカにしてんのあんた!!』


私は力に任せてドンっと陽生の胸を思いっきり叩いた



なのに




『ほら、おいで』


『え…ちょっ!』



陽生はそのまま私の手を引っ張ると、再び私を自分の胸に引き寄せた


私は再び陽生の膝の上に乗っかった状態でまた抱きとめられてしまい


『や、やだ!離して!ばか!もういい加減にしてよ!!』


私はすかさず陽生から逃れようと、体をねじって抵抗した


『バカにするのもいい加減に……』


『ずっと苦しかっただろ』


その瞬間、私の頭を自分の胸に押し当てた陽生


『ずっと誰にも頼らず、必死で生きてきたんだもんな』


『えっ』


『本当はずっと誰かにすがりたくて、泣きたくて仕方なかったんだよな?』


『えっ?』



な…に?


『本当良く頑張ったな…でももう我慢しなくていい
安心して思いっきり泣けよ』