甘い体温



今までいろんな男と肌を重ねてきたけど、一度だって人の体温があたたかいと思ったことはない


人のぬくもりを心地いいと感じたこともない


SEXなんて欲求を満たすだけの冷たい行為


私には何の価値もない







それにしても…


いつ来ても此処はネオンの輝きと行き交う人の多さで華やいでいる


クリスマスも近いだけあってか、尚更華やかさを増している


私は特に買い物をする訳でもなく、何をするでもなく一人


外灯に体をもたれながら行き交う人を眺めていた






『三月』



するとそんな時、突然後ろから強い力で肩を掴まれた



『…あ』



少し驚きながら振り返えるとそこには、今朝一方的に関係をきった男が私をしっかりと捕まえ、鋭く見据えていた


『何?』


私はあからさまに嫌な顔をすると、そっけなく答えた



『何じゃねーだろ!今朝のは一体なんの真似だよ』



眉間に皺を寄せた男が私を睨みつける