「でも、諦めなくてよかった。」
へらっと顔を赤く染めて微笑んで、
ゆっくり包み込むようなハグをする。
身長が高い朝丘に、身長の小さい私は埋もれる。
「ち、近いよっ、離れてっ」
朝丘の匂いに包まれながらドタバタと動いてしまう。
ドキドキしておかしくなりそうっ。
「へー、離れていいんだ?」
意地悪な声が聞こえて、体に響く。
「……やだ。」
この温もりとかあったかい声とか、朝丘の全部が今、私に向けられていると思うと擽ったくて、嬉しい。
「可愛い。」
「ふ、ぁ!?」
「あ〜、幸せすぎる。」
そう言って天を仰ぐ朝丘に、思わず笑みがこぼれる。
「離さないでね。」
そう言って抱きしめ返すと、
「離せないよ。」
もっと強く抱きしめられた。
fin



