天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う


『今日は肉じゃがが食いたい』
『ひ……っ』

仕事中は話しかけるなと言われていても、毎回まるで幽霊でも見たかのようなリアクションをするのが可笑しくて、目に入れば声をかけたくなる。

『だ、だから、病院では近付かないでくださいとあれほど』
『俺は了承してない』
『じゃあ今了承してください』
『断る』
『うぅ……夜食はパンプキンスープにしてやりますから』

口を尖らせながら上目遣いで睨んでくる羽海を見て笑っていると、病棟に入院している患者や看護師などの視線が集まっていることに気付く。

彼女を見ていて気付いたのは、熱心な仕事ぶりだけではない。

よく患者と世間話をしているところを見かけるが、みんな彼女を「羽海ちゃん」と親しげに呼び、娘や孫のように可愛がっている様子だった。

談話室を清掃している時などは話すチャンスなのか、羽海も仕事の手は止めないながらも会話を楽しんでいて、かなりの人数が集まっているのを見たこともある。