天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う


「あの……」

本当にこんなに豪華なマンションで彗と一緒に暮らすのだろうか。

ここまでついてきてしまったものの、見ず知らずの男性の部屋に居候するなんて奇妙な話だし、やはり非常識だ。

羽海の性格を端的に表すとしたら、真面目で優等生な学級委員長タイプ。控えめだが間違っていると思えば指摘もするし、常識から外れたことには抵抗を覚えてしまう。

そもそもこの状況を受け入れて部屋を案内している彼は、一体どういうつもりなのだろう。

「本当に私がここでご厄介になっていいんですか?」
「どういう意味だ」
「おばあちゃん達が友達同士だからって、知らない相手と一緒に住むなんて非常識だと思うんですけど」

実家に住めない以上、羽海の荷物があるこの部屋においてもらう他に今のところ解決策はない。

けれど、こうもあっさり他人を部屋に入れるなんて、〝傍若無人な俺様〟と噂の彗らしくない気がする。

これまで彼は表情を変えず、なにを考えているのかまったく読めないままだ。

羽海がこの現状の異常さを訴えると、彗は面倒くさそうに短く息を吐き、口を開いた。