産後の処置を受け、きれいにおくるみに包まれた赤ちゃんを腕に抱くと、あまりの軽さに驚いた。
「わ、軽いです」
「男の子か。どっちに似てる?」
「まだわかりません。おサルさんみたいです」
「じゃあ羽海似か」
「どういう意味ですか」
息子を抱きながら言い合いをしていると、ふにゃーと小さな声で泣いていた赤ちゃんがぴたりと泣き止む。
グーに握っている小さな拳をつついてみると、そっと開いて指をギュッと握られた。
「ふふ、可愛い。絶対守ってあげなきゃって思いますね」
お腹に宿った時にも感じた母性が、むくむくと育っていくのがわかる。
その光景を見ていた彗は眩しそうに目を細めたあと、真剣な眼差しで羽海を見つめた。
「守ってみせる。ふたりとも幸せにする。必ず」
ストレートに気持ちを告げられ、胸の奥がじわりと温かくなる。
じっと見つめ合ったまま、どちらともなく顔が近付き、そっと唇が重なった。
「……扉の向こうから先生と助産師さんの生温かい視線が刺さってます」
「ほっとけ。今日くらいいいだろ、職場でイチャついたって」
「今日だけじゃないくせに……」
照れ隠しでぼやきつつも、幸福な空気に包まれた甘い口づけは、赤ちゃんが再び泣き出すまで続いたのだった。
Fin.



