そんな状況下でスタイル抜群の美女に言い寄られたりしたら、普通の男性ならグラッときてしまいそうだ。
豊満な胸元を腕に押し付けられて満更でもなさそうな顔の彗を思い浮かべ、自分の勝手な妄想にムッとする。
「……不貞行為は禁止ですから」
顎をツンと上げて精一杯強気に言ってみせた。
すると、一瞬ぽかんとした彗がフッと吹き出すように笑い、羽海の顎に指をかけて顔を近付けてきた。
「当たり前だ。抱きたい女は羽海しかいない」
午後一時の職員食堂には昼休憩をとる病院関係者で溢れているにもかかわらず、彗は妖艶な顔で言い放った。
完膚なきまでに反撃を食らい、羽海は再び顔を赤くさせて狼狽える。
「こっこんな公衆の面前でなにを……っ」
「お前の要望に応えただけだけど」
「望んでなんていません!」
「そうか? ケバい看護師にチョコ貰ってる想像でもしたんだろ」
あっさりと図星をさされて言葉に詰まった羽海を見て、彗が愉快そうに笑う。



