「やっぱ、あんた慣れてなさそうだな。もしかして、彗に処女捧げちゃった感じ? それでもう孕ませるとか、あいつも鬼畜だな」
下品な笑い方をする目の前の男の物言いに羽海が絶句していると、それを見た隼人がニヤリと笑ってエコー写真を羽海の目の前に見せつけてきた。
「あんた相手じゃ勃つか心配だったけど、もう孕んでんなら話は早いわ。これ、どっちの種かわかんないって言っといてよ。熱いキスを交わした仲だし?」
ピラピラと写真を振り、羽海のお腹の中でたしかに生きている命を『これ』と呼び軽んじる隼人を睨みつける。
「そんなでたらめ、言うわけないじゃないですか!」
「でたらめかどうかなんて、わかんないだろ? 俺と彗は一卵性の双子だ。DNAだってまるっきり一緒。あんたがいくら彗の子供だって主張したところで、俺もあんたを抱いたって言えば、証明する手立てはない」
「そ、そんな……どうして……」
目の前が真っ暗になっていく感覚に抗い、なんとか両足に力を入れて地面を踏みしめる。
体調の悪さに耐えながら対峙する羽海に、隼人は追い打ちをかけるように傷つける言葉を選んで話した。
「本気で好きになったって、あいつは打算で結婚すんだよ? 今はどんだけ大事にされてんのか知らないけど、実際はただデカい財団のトップの椅子に座りたいだけ。全部芝居。そんな中で子供生んで育てるとか耐えられんの? 彗だけじゃない。親父だってばあさんだって仕事が一番大事。誰もあんたを顧みたりしないのに、貞淑さは求められるんだよ。俺らの母親だってそうだった。結局耐えきれなくなって、子供放り出して出てったよ」



