「もしかして彗の? クソ、子供ができれば有利になるって同じこと考えたのか。ふざけんなよ。あんたも大人しそうな顔して、もう孕むほどヤってんじゃねえよ」
チッと舌打ちされるが、隼人はぴたりと動きを止めて考え込む。
「……いや、待てよ。DNAも一緒だし、どっちだってわかんないよな。堕ろしてまた孕ませるより手っ取り早いし」
不穏な呟きが聞こえ、怖くなって逃げ出そうとすると、痛いほどの力で引き寄せられ、強引に唇を奪われた。
「んんっ!」
やめて!と拒絶の言葉を発したつもりが、それより早くぬるりとした舌が腔内を無理やり犯す感触に苛まれ、鳥肌と嫌悪感が湧き上がる。
羽海は体調の悪さも忘れて全身を使って暴れ、目の前の胸を押し返した。
「いやっ! なっ、なにを……!」
思いきり詰ってやりたいところだが、動転から息が荒く、なにも言葉が出てこない。
悔しさと気持ち悪さから、リップが剥げるのも唇が切れるのも構わずゴシゴシ拭う。



