天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う


けれど、こうしてお腹に赤ちゃんがいるのだと実感した今、小さいながら元気いっぱいに点滅していたエコーを見て、例えようがない気持ちが溢れてきた。

愛おしくて、守りたい。とても大事で大切な宝物をもらったような、ふわふわした気分だ。

「この子に、会いたい」

噛みしめるように呟き、母になる覚悟を決めた。自分でも驚くほど潔く、けれど心にしっかりと根付いた覚悟だ。

(この子にとっていい母親になる。守ってみせる。だからゆっくり大きくなって、無事に生まれてきて)

両手で腹部を包むようにして、心の中で我が子に語りかけた。

すると、そんな羽海の様子を見ていた医師が穏やかな微笑みを向けてくれる。

「わかりました。ではお母さん、これから頑張りましょう」
「はい」

その後、エコー写真と母子手帳などを貰うための書類などを受け取り、クリニックをあとにした。