天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う


「今は六週くらいですね。成瀬さんは未婚ですか」
「はい」
「パートナーにはお話できそうですか?」
「えっと……」

彗の顔を思い浮かべ、羽海は一瞬言葉に詰まる。

プロポーズされ、羽海もそれに頷いたが、まだ出会って二ヶ月も経っていない。

(彗さんは喜んでくれるかな……)

早すぎると思われたらどうしよう。そんな不安が羽海の脳裏をよぎる。

すぐに返答できなかった羽海を見た医師はきゅっと口を引き結び、一拍置いてから話し出した。

「酷なようですが、もしも産まないという選択肢があるのなら、早い段階で決めないと母体にかなり負担が」
「ないです!」

考えるより先に言葉が出た。

「産まない選択肢はないです。私……生みたい」

妊娠の可能性に気付いた時は、喜びよりも戸惑いが大きかった。彗がどう思うか、自分自身がいい母親になれるのか、今でも不安はたくさんある。