「ちょっと夏バテ気味なのか、気分が悪くなって。でも、もう落ち着きました」
「無理するな。横になるか?」
「大丈夫です。今日は久しぶりに一緒に食べられると思って、張り切って作ったんです。準備するので食べましょう」

プロポーズを受けて以降、時間が合う時は一緒に食卓につくようになった。

まだ数えるほどではあるが、彗が食べるのを見ていただけの時よりも、さらに幸せで安らげる時間だ。

「わかった。だが、また気分が悪くなったら我慢しないですぐ言ってくれ」
「はい」

笑顔で頷くと、大きな手が頭にぽんと乗せられた。

「手伝う」
「ありがとうございます。じゃあこれ運んでください。お酒飲みますか? おつまみもありますよ」
「いや、酒はいい」
「え、明日休みなのに?」
「酒を飲む時間があるなら、羽海に触れていたい」

色気を含んだ眼差しで見つめられ、言葉に詰まる。

恋愛経験値の低い羽海はいつまで経っても彗の甘い言動に慣れず、毎回心臓が跳ねてしまう。