彗自身を知りたくてデートの誘いに頷き今日一日を一緒に過ごしたが、ずっとドキドキしっぱなしで、でもふたりでいるのが楽しくて、彼に惹かれている自分を改めて認識することとなった。
考え方の違いも、視点を変えればプラスに働く。時に反発しあいながらも、彗となら楽しく暮らしていけそうな気さえしている。
(いつの間にか、どんどん先生を好きになってる。でも……)
「結婚しよう、羽海」
「どうして私なんですか? 先生の周りには他にも綺麗な女性はたくさんいるでしょう?」
彗ほどモテる男性なら、どんな女性でもよりどりみどりに違いないのに、なぜ自分を選ぶのかわからない。
「羽海がいい。欲がなくて、媚びなくて、俺にぽんぽん言い返す気の強さも、患者に寄り添って涙する優しさも、全部……」
繋いでいる手をグッと引っ張られた。
「わっ……!」
目の前の彗の胸にすっぽりと収まり、片腕で抱きしめられた。
こうして彼の体温に包まれるのはあの夜以来で、心臓が大きく波打つ。



