(先生の言葉を真に受けるわけじゃないけど、少しでも先生の目に綺麗に見えてるのなら、恥ずかしいけど嬉しい)
すぐに言葉が出ず、感謝の意を込めてぺこりと頭を下げたのだが、彗は了承の合図に捉えたらしい。
「わかればよし。だから手を離すなよ」
彼はフッと笑って、繋いだ手を目線まで上げて見せる。
意外に彗も水族館を楽しんでいるようで、いつもよりも素の笑顔が多い。
ゆらゆらと揺らめく神秘的な空間は、そこにいるだけで心が凪いでリラックスし、時計の針がいつもよりゆっくりと動いている気がする。
羽海は今度こそ了承の合図として、笑顔で大きく頷いた。
その後、コツメカワウソのもぐもぐタイムが始まるというアナウンスを聞き、ふれあい広場へ向かった。
可愛らしい見た目に反するワイルドな食事シーンで、思わず顔を見合わせて笑い合う。
「凄いガツガツ食ってるな」
「ふふ、本当ですね。なんか御剣先生っぽい」
「は? どのへんが?」
「よそ見しないで食事してるところ。気持ちいい食べっぷりです」



