天才ドクターは懐妊花嫁を滴る溺愛で抱き囲う


(え、今、可愛いと思ってるって言った? 私を?)

自分が仕掛けた攻撃をあっさり躱されただけでなく、倍以上の威力で返り討ちにされた気分だった。

「そんな言葉くらいで固まるなよ。……余計煽られるだろ」

真っ赤になった羽海の顔を見て、ため息まじりに彗が呟いた。後半はよく聞こえなかったが、固まってしまったのは彼のせいなので反論しておく。

「きゅ、急に先生が変なこと言うから」
「本当のことしか言ってない。それに、デート中だというのに周りに気を取られているのも面白くない」

周りの視線を集めているせいで落ち着かないのを見抜いていた彗が、眉間に皺を寄せてじろりと睨む。

「すみません、周りの視線が気になって。先生は慣れていそうですけど、私までじろじろ見られている気がして」
「男どもが羽海に見惚れてるんだろ」
「なに言ってるんですか。先生を見てるんですよ」
「女はそうでも、男まで俺を見てるわけないだろ。お前は可愛いし、今日は一段と綺麗だ。少しは自覚しろ」

確かに彗にプレゼントされた服を着て、プロにヘアメイクを施してもらった今日の羽海はいつもとは別人だ。

百貨店のサロンでも褒めてくれたが、こうして改めて言われるとその時以上に盛大に照れてしまう。