「全然似てませんっ。それに、あれ顔じゃないですよ」
「知ってる。でも可愛いだろ」
「……先生にも可愛いって思う感情があるんですね」
「俺をなんだと思ってるんだ。可愛いもんは可愛いだろ。さっきぺんぎん見てた時とか、俺が料理を褒めた時も、あんな顔してる」
クスッと笑われ、焦りと羞恥で鼓動が高まる。
(うそ。私、あんなへにゃって顔して笑ってた?)
ぺんぎんを見ていた時はあまりの可愛さに頬が緩んでいた自覚はあるが、彗が食事中に『美味い』と呟くのが聞こえた時はポーカーフェイスを装っていたはずだ。
それがまさか、嬉しさが隠しきれずに顔に出てしまっていたのを見られていたなんて、恥ずかしいことこの上ない。
自分の失態を隠すように、からかい口調で彗の顔を覗き込み、話題を逸らそうと試みる。
「それ、私を可愛いって思ってるように聞こえますよ?」
すると、意外なほどあっさりと返された。
「可愛いと思ってるけど?」
「ひぇっ……?」
照れるでもなく普通に返事をされてしまい、言葉に詰まって変な声が出た。



