新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜

そうなんだ。
日本は、そんな感じでしか他国から捉えられていないんだ。
「それと・・・・・・とにかく、学生は寝る間も惜しんでよく勉強をしている。そこが、当たり前なんだが凄い」
「そうなんですか」
「よく勉強をしているというより、勉強をしないと付いて行かれない。レポートの提出なんて毎週各教科あるし、授業内容を把握して次の授業までの予習をしていかないと追いつかないから毎晩夜中の1時、2時過ぎまで勉強している。それに、周りがみんな勉強をしているから自分も勉強をしないといけないと思えるような雰囲気に自然となっていて、授業料や参考書代を稼ごうとバイトをするのは長期の休みがある時以外は、殆どの学生はしていない。していないというより、そんな時間がないから出来ないのが現実だ」
そんなにアメリカの大学って、大変なんだ。
「よく言うだろう? こっちの大学は、入るのは簡単だが卒業するのは大変だと」
「はい。聞いたことがあります」
「恐らく、俺もその頃がいちばん勉強をしていたかもしれないな。勿論、個人差はあるだろうし、色々な学生が居るから全てがそうだとは言えないが、明らかに学ぶために大学があるという当たり前のことを実践しているのがこっちの大学ということだけは事実だ」
凄いな。高橋さんは、そんな経験もしていたんだ。
「本当ならば、もっとアメリカの経済について学びたかったし、もっと欧米社会経済についても知りたくて少なくともあと半年は居たかったんだが、就職のこともあってそれは叶わなかった。それが、今でも少し心残りではあるんだ」
「そうなんですか。でも、凄いです。高橋さんは、本当に勉強家だったんですね」
とてもじゃないが、自分には無理だ。言葉の壁もあるし、毎晩遅くまで勉強して授業受けて・・・・・・なんて続かない。
「いや、そうしないと単位が貰えなかったというのが実のところ。格好いいこと言ってるが、それが本音」
そう言うと、高橋さんは悪戯っぽく笑った。
「少し冷めちゃったな。早く食べよう」
「はい」
高橋さんが、私の目の前に置いてあったスプーンを取って差し出してくれた。