そう言うと、山本さんは壁面に沿うように並んで置かれていた椅子の方に私を誘うように歩みを進め、そして座った。
「イエローの秘密といっても、そんな大それたことではないの。私達が視覚として捉えるカラーの中にイエローがあるわけだけど、イエローは人間の脳を刺激して集中力を高め、脳の働きを活性化させて意欲や向上心を高めてくれるの。サッカー等でよく見るイエローカードは、そういう経緯から生まれたカードのカラーだったりするの。そんな人間の脳を刺激して活性化してくれると同時に、イエローは黄金を連想させる色とも言われていて、その黄金の輝きはエネルギーを惜しみなく発散させる作用があるんですって。それは、同質のエネルギーは同質のエネルギーを引き寄せるっていう引き寄せの法則からすると、黄金の輝きは最高のエネルギー同士を引き寄せるってことになるでしょう? 私は、貴博からその黄金の輝きをいつも感じていたから、引き寄せられるように自分自身も最高のエネルギーを体感していたの。分かるわよね? 貴博は、そういう人とは違う異彩を放つ輝きを持っていること」
「は、はい」
高橋さんは、人とは違うオーラを持っていることはいつも感じていた。それと同じようなことを感じていた人が、此処にも居た。山本さんは、高橋さんに引き寄せられるようにして……。
「でも、世の中って不思議よね。こんな風に格好いいことを言ってるけれど、人生そんな綺麗事ばかりじゃないから」
山本さん?
思い過ごしだろうか? 隣に座っている山本さんの表情が、一瞬険しくなった気がした。
「どん底だった私を、貴博は救い出してくれたの」
高橋さんが……山本さんを……。
「私があることで悩んで苦しんでいたら貴博ったらね、こっちはいっぱいいっぱいだったのに、何、不幸を背負ってます代表みたいな顔してるんだ? って。しかも、笑いながら言ったのよ。酷いでしょう?」
その台詞の言い回しが、何だか目に見えるように分かる。高橋さんらしい。
「こっちは真剣なのに全然取り合って貰えないから、だんだん腹が立ってきて頭にきたから周りに大勢の人が居たんだけど、お構いなしで思いっきり大声出して目の前で泣いてやったの」
山本さん……。
『泣かれると辛い。特に女性の涙は……』 ふと、前に高橋さんに言われたことを思い出した。
「でも、貴博は止めなかったの。それどころか、泣きたければ泣きたいだけ泣けばいい。泣いて事が解決するのなら、そうしろ。だが、泣いてるだけでは解決しないのなら、泣く前に解決策を探せ。泣くのは、感情を言葉に出来ないからだろう? 羞恥心も体裁も人前で泣けるぐらいなら、とっくに捨て去ってるはず。ならば、その感情を俺にぶつけてみろ。そのために俺は今、かおりの前に居るんだろうって」
「イエローの秘密といっても、そんな大それたことではないの。私達が視覚として捉えるカラーの中にイエローがあるわけだけど、イエローは人間の脳を刺激して集中力を高め、脳の働きを活性化させて意欲や向上心を高めてくれるの。サッカー等でよく見るイエローカードは、そういう経緯から生まれたカードのカラーだったりするの。そんな人間の脳を刺激して活性化してくれると同時に、イエローは黄金を連想させる色とも言われていて、その黄金の輝きはエネルギーを惜しみなく発散させる作用があるんですって。それは、同質のエネルギーは同質のエネルギーを引き寄せるっていう引き寄せの法則からすると、黄金の輝きは最高のエネルギー同士を引き寄せるってことになるでしょう? 私は、貴博からその黄金の輝きをいつも感じていたから、引き寄せられるように自分自身も最高のエネルギーを体感していたの。分かるわよね? 貴博は、そういう人とは違う異彩を放つ輝きを持っていること」
「は、はい」
高橋さんは、人とは違うオーラを持っていることはいつも感じていた。それと同じようなことを感じていた人が、此処にも居た。山本さんは、高橋さんに引き寄せられるようにして……。
「でも、世の中って不思議よね。こんな風に格好いいことを言ってるけれど、人生そんな綺麗事ばかりじゃないから」
山本さん?
思い過ごしだろうか? 隣に座っている山本さんの表情が、一瞬険しくなった気がした。
「どん底だった私を、貴博は救い出してくれたの」
高橋さんが……山本さんを……。
「私があることで悩んで苦しんでいたら貴博ったらね、こっちはいっぱいいっぱいだったのに、何、不幸を背負ってます代表みたいな顔してるんだ? って。しかも、笑いながら言ったのよ。酷いでしょう?」
その台詞の言い回しが、何だか目に見えるように分かる。高橋さんらしい。
「こっちは真剣なのに全然取り合って貰えないから、だんだん腹が立ってきて頭にきたから周りに大勢の人が居たんだけど、お構いなしで思いっきり大声出して目の前で泣いてやったの」
山本さん……。
『泣かれると辛い。特に女性の涙は……』 ふと、前に高橋さんに言われたことを思い出した。
「でも、貴博は止めなかったの。それどころか、泣きたければ泣きたいだけ泣けばいい。泣いて事が解決するのなら、そうしろ。だが、泣いてるだけでは解決しないのなら、泣く前に解決策を探せ。泣くのは、感情を言葉に出来ないからだろう? 羞恥心も体裁も人前で泣けるぐらいなら、とっくに捨て去ってるはず。ならば、その感情を俺にぶつけてみろ。そのために俺は今、かおりの前に居るんだろうって」

