「はあ……でも……」
「ほら」
高橋さんは私をソファーから立たせると、部屋へと誘いながらドアを開けてくれて、中に入るよう左手でジェスチャーをした。それ以上、ここでも高橋さんは部屋の中へは入ろうとしない。
何だか名残惜しい気持ちだったが、仕方なく言われるまま部屋の中に入った。
「おやすみなさい」
振り返って、俯きながら挨拶をした。
「おやすみ。また明日」
耳元で高橋さんがそう囁くと、髪にキスをした。
嘘……。
突然の予期せぬ出来事で、呆然としている間にドアは閉まってしまった。
な、何?
今、何で……。
膝がガクガクして、キスをされた髪に触れている右手が震えていた。それが驚いて震えているのか、寒いから震えているのか、訳が分からないままお風呂セットを持って急いでシャワールームに飛び込んだ。
シャワーを浴びながら、また疑問がふと浮かぶ。ずっと……もうだいぶ前から抱いている疑問。それは、時に不安に駆られ、また時には気持ちを鼓舞する。そんな、ずっと抱いている感情を左右する疑問。高橋さんが、いったい何を考えているのか分からない。その行動も、心も……。ひょっとして、高橋さんにからかわれているだけなんじゃないかとさえ思える時もある。卒なく何でもこなしてしまう、あの高橋さんの流れるような動作。さっきのベランダでの出来事と囁かれた声を思い出すと、ベッドに入ってからもドキドキしてなかなか寝付けなかった。
私は、いったい……。
「ほら」
高橋さんは私をソファーから立たせると、部屋へと誘いながらドアを開けてくれて、中に入るよう左手でジェスチャーをした。それ以上、ここでも高橋さんは部屋の中へは入ろうとしない。
何だか名残惜しい気持ちだったが、仕方なく言われるまま部屋の中に入った。
「おやすみなさい」
振り返って、俯きながら挨拶をした。
「おやすみ。また明日」
耳元で高橋さんがそう囁くと、髪にキスをした。
嘘……。
突然の予期せぬ出来事で、呆然としている間にドアは閉まってしまった。
な、何?
今、何で……。
膝がガクガクして、キスをされた髪に触れている右手が震えていた。それが驚いて震えているのか、寒いから震えているのか、訳が分からないままお風呂セットを持って急いでシャワールームに飛び込んだ。
シャワーを浴びながら、また疑問がふと浮かぶ。ずっと……もうだいぶ前から抱いている疑問。それは、時に不安に駆られ、また時には気持ちを鼓舞する。そんな、ずっと抱いている感情を左右する疑問。高橋さんが、いったい何を考えているのか分からない。その行動も、心も……。ひょっとして、高橋さんにからかわれているだけなんじゃないかとさえ思える時もある。卒なく何でもこなしてしまう、あの高橋さんの流れるような動作。さっきのベランダでの出来事と囁かれた声を思い出すと、ベッドに入ってからもドキドキしてなかなか寝付けなかった。
私は、いったい……。

