いつも冷静で動じない高橋さんが、震えている。信じられなかった。でも……何か震えるほどのことが、もしかして高橋さんの中で起きているの?
そんな、震えている高橋さんの腰に両腕を廻そうか、どうしようか迷っていた。でも、もし拒絶されたら……そんな負の心理が頭の中を支配仕掛けたが、勇気を出して両腕を動かそうと試みた。けれど、高橋さんにギュッと抱きしめられていたので、それは不可能だった。
こんな時、高橋さんの腕を振り解いても、そうした方がいいのだろうか? でも、もしかしたらそんなことは望んでいないとしたら高橋さんは……。きっと迷惑だから、だから何もせずにいた方が……。そう半ば言い聞かせるようにして、高橋さんの次の言葉を待った。
「俺は……」
すると、そう言い掛けた高橋さんのパンツの左ポケットから携帯が振動する音が鳴り出し、予期せぬ音に驚いて思わず高橋さんを見上げると目が合った。
「フッ……」
何故か、はにかんだように微笑みながら高橋さんは私から離れると、ポケットから携帯を出してリビングの方へと歩きながら電話に出ていた。
「Hellow?」
キッチンのカウンター越しに、高橋さん応対の声が聞こえる。
さっきのは、何だったんだろう。 高橋さんは、何故震えていたの? そして、いったい何を私に言いたかったんだろう。
「おお。お久しぶりです。はい……さっき着いて……ええ、大丈夫ですよ……はい。それじゃ、明日。よろしくお願いします」
恐らく、電話の相手は支社の人だったのだろう。何となく、会話からそう連想出来た。
電話を終えると、高橋さんは直ぐに何処かに電話を掛けていた。
「もしもし……」
電話をしながらソファーに腰掛け、背もたれに持たれている。
「ああ、中原? まだ居たのか……そう、さっき無事に着いた。何か、あるか?……そうか……じゃあ、よろしく頼むな」
中原さんに、電話をしていたんだ。やっぱり何処に居ても、高橋さんは上司なんだな。改めて、感心してしまう。
電話が終わって、高橋さんがリビングからキッチンに戻ってきた。
さっきの話の続きがとても気になって、ドキドキしてしまう。高橋さんが言い掛けた、言葉の続きが……。
カウンター横で冷蔵庫を背にしたまま、高橋さんがキッチンに入ってくるのを身構えていると、目の前で立ち止まった高橋さんは、そのまま両手を上に挙げて思いっきり伸びをした。
そんな、震えている高橋さんの腰に両腕を廻そうか、どうしようか迷っていた。でも、もし拒絶されたら……そんな負の心理が頭の中を支配仕掛けたが、勇気を出して両腕を動かそうと試みた。けれど、高橋さんにギュッと抱きしめられていたので、それは不可能だった。
こんな時、高橋さんの腕を振り解いても、そうした方がいいのだろうか? でも、もしかしたらそんなことは望んでいないとしたら高橋さんは……。きっと迷惑だから、だから何もせずにいた方が……。そう半ば言い聞かせるようにして、高橋さんの次の言葉を待った。
「俺は……」
すると、そう言い掛けた高橋さんのパンツの左ポケットから携帯が振動する音が鳴り出し、予期せぬ音に驚いて思わず高橋さんを見上げると目が合った。
「フッ……」
何故か、はにかんだように微笑みながら高橋さんは私から離れると、ポケットから携帯を出してリビングの方へと歩きながら電話に出ていた。
「Hellow?」
キッチンのカウンター越しに、高橋さん応対の声が聞こえる。
さっきのは、何だったんだろう。 高橋さんは、何故震えていたの? そして、いったい何を私に言いたかったんだろう。
「おお。お久しぶりです。はい……さっき着いて……ええ、大丈夫ですよ……はい。それじゃ、明日。よろしくお願いします」
恐らく、電話の相手は支社の人だったのだろう。何となく、会話からそう連想出来た。
電話を終えると、高橋さんは直ぐに何処かに電話を掛けていた。
「もしもし……」
電話をしながらソファーに腰掛け、背もたれに持たれている。
「ああ、中原? まだ居たのか……そう、さっき無事に着いた。何か、あるか?……そうか……じゃあ、よろしく頼むな」
中原さんに、電話をしていたんだ。やっぱり何処に居ても、高橋さんは上司なんだな。改めて、感心してしまう。
電話が終わって、高橋さんがリビングからキッチンに戻ってきた。
さっきの話の続きがとても気になって、ドキドキしてしまう。高橋さんが言い掛けた、言葉の続きが……。
カウンター横で冷蔵庫を背にしたまま、高橋さんがキッチンに入ってくるのを身構えていると、目の前で立ち止まった高橋さんは、そのまま両手を上に挙げて思いっきり伸びをした。

