新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜

今、声に出ちゃってた?
「可笑しな奴だな」
「可笑しくないです」
「圧巻だぞ。此処にクリスマスツリーがあると」
そう言うと、高橋さんはビルの方を見た。
在るべき場所に、在るもの。
その在るべき場所に在る、クリスマスツリーが見てみたい。
「見てみたいです」
「そのためにも、全てのことに俺も頑張るが、お前も頑張れ」
「はい」
頑張らなくては。
せっかく、高橋さんがバッグをプレゼントしてくれたんだもの。そのためにも、自分のためにも頑張ろう。
『人が回復するのに、締め切りなどはない。もう遅いと言ってしまったら、可能性は萎んでいく。何事も、諦めたら負けだ』
他の人より劣っている部分が多いことは、自分でもよく分かっている。この言葉を胸に刻んで、私も頑張ろう。
「さて、ディナーはフレンチでいいか?」
「はい!」
嬉しいな。ニューヨークでフレンチレストランに行かれるなんて、夢のよう。
「良かった。かおりに思いっきり文句を言われながら予約取って貰ったから」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。予約が取れるだけでも、奇跡だと言われた」
うわっ。
また、凄い人気のレストランなのかな。
「あ、あの、因みにレストランの名前は……」
「ん? パーセ」