その横顔は、とても寂しそうに見えるのは何故だろう?
「時は、残酷だな」
エッ……。
「刻むことはあっても、止めることや戻すことは出来ない」
高橋さん。
「だから、無駄には出来ない……んだよな」
高橋さんは言い聞かせるようにして言うと、こちらを見て微笑んだ。
「高橋さん……」
その微笑みがとても哀しそうに見えて、思わず声に出して名前を呼んでいた。
「ん?」
「何か……あったんですか?」
「……」
私の問いに、黙って高橋さんは目を丸くしてジッとこちらを見た。
しまった!
聞いてはいけないことを……。
「フッ……。何もない」
高橋さん。
予想していた通り、やはり何も応えては貰えなかった。
「行こう。見せたい場所がある」
うわっ。
突然、高橋さんに腕を引っ張られ、体の向きを変えられると横断歩道を渡っていた。
「あ、あの、何処に行くんですか?」
「良い所だ」
良い所?
「この信号を渡れば、もう直ぐだ」
何処に行くんだろう?
何だか、ドキドキする。
「着いた」
エッ……。
此処……なの?
「あの、このビルの中ですか?」
「いや、此処だ」
此処って……何もないんじゃない?
ただ、目の前にビルがあるだけで何も見当たらない。
「高橋さん。このビルに何かあるんですか? 他に、何も見当たらないんですが」
「そう。何も見当たらない」
見当たらないって……何?
「在るべき場所に、在るものがない」
「あの、向こうのゴールドの像とは違うんですか?」
「ああ。あれは、ずっと此処に存在しているから」
「そ、そうなんですか」
高橋さんは、ずっとビルの上の方を見上げていた。
でも、このビル。何処かで見たような気がする。
「当然だと思っていて、当たり前のように見ていたものがないと、人間は不思議なもので落ち着かないもんだな」
高橋さん……。
高橋さんは、天を仰ぐようにして目を閉じた。
「時は、残酷だな」
エッ……。
「刻むことはあっても、止めることや戻すことは出来ない」
高橋さん。
「だから、無駄には出来ない……んだよな」
高橋さんは言い聞かせるようにして言うと、こちらを見て微笑んだ。
「高橋さん……」
その微笑みがとても哀しそうに見えて、思わず声に出して名前を呼んでいた。
「ん?」
「何か……あったんですか?」
「……」
私の問いに、黙って高橋さんは目を丸くしてジッとこちらを見た。
しまった!
聞いてはいけないことを……。
「フッ……。何もない」
高橋さん。
予想していた通り、やはり何も応えては貰えなかった。
「行こう。見せたい場所がある」
うわっ。
突然、高橋さんに腕を引っ張られ、体の向きを変えられると横断歩道を渡っていた。
「あ、あの、何処に行くんですか?」
「良い所だ」
良い所?
「この信号を渡れば、もう直ぐだ」
何処に行くんだろう?
何だか、ドキドキする。
「着いた」
エッ……。
此処……なの?
「あの、このビルの中ですか?」
「いや、此処だ」
此処って……何もないんじゃない?
ただ、目の前にビルがあるだけで何も見当たらない。
「高橋さん。このビルに何かあるんですか? 他に、何も見当たらないんですが」
「そう。何も見当たらない」
見当たらないって……何?
「在るべき場所に、在るものがない」
「あの、向こうのゴールドの像とは違うんですか?」
「ああ。あれは、ずっと此処に存在しているから」
「そ、そうなんですか」
高橋さんは、ずっとビルの上の方を見上げていた。
でも、このビル。何処かで見たような気がする。
「当然だと思っていて、当たり前のように見ていたものがないと、人間は不思議なもので落ち着かないもんだな」
高橋さん……。
高橋さんは、天を仰ぐようにして目を閉じた。

