新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜

口に出して言ってみると自分でも呆れてしまうぐらいなんだから、高橋さんにしたら本当に迷惑な話だと思う。子供ならまだしも、大の大人が迷子になって知らない人に絡まれて。これじゃ、いくら寛大な高橋さんでも内心腹立たしく思っていると思う。苛立ちを覚え、呆れ返っても尚、こうして優しくしてくれることに申し訳ないという気持ちよりも、その優しさが辛い。そんな風に辛い等と感じてしまう自分も、また情けない。
でも、それもこれも高橋さんは上司だから。だから、私を見捨てずに……。
「そうだな」
「えっ?」
「お前は、駄目だな」
「高橋さん」
高橋さんに、はっきりと言われてしまった。
ああ。
やっぱり、高橋さんに愛想を尽かされてしまったんだ。
「お前は駄目だ。最悪だ」
高橋さん……。
言葉を失った。