「あの、高橋さん。やっぱり私、パウンドケーキは1人で食べます」
先ほど、半分に割ったパウンドケーキを破って開いた紙袋を2等分にしてのせて、その1つを高橋さんの方に置いたが、それをまたこっちに引き寄せようと手を伸ばした。
エッ……。
手を伸ばしたのに、パウンドケーキには届かなかった。正確に言えば、届かなかったどころか更に遠くに行ってしまった。高橋さんが、素早く自分の方に引き寄せたから。
「あ、あの……」
「取るなよ、俺のパウンドケーキ半分」
はい?
「でも、それせっかく高橋さんが私に買って下さったのだから、やっぱり全部私が食べないと失礼かなと思って。だから、その……」
「いやーだ。1回貰ったものは、俺のものぉ」
「あっ!」
そう言うと、高橋さんは素早くパウンドケーキを口に入れた。
「やっぱり、いつ食べても旨いな」
満足そうに微笑んでいる高橋さんを見ていると、まるで子供のよう。
「あれ? お前、食べないの? 食べないなら、俺が食べてやろうか?」
「えっ? だ、駄目ですよ。今から食べるんですから」
慌ててパウンドケーキをのせていた紙袋を引き寄せ、手でガードしながら口に運んだ。
何、これ。
「お、美味しい! これ、凄く美味しいですね」
「だから、言っただろう? 旨いって」
「はい」
一口ずつ味わいたいのに、口に運ぶスピードが止まらない。
「そのガードしてる手は、何だ?」
こんな忙しい時に、邪魔をするように高橋さんに聞かれたが、それに応えている場合じゃない。うかうかしていたら、食べられてしまいそうだもの。
高橋さんに取られないようにガードしながらも、そうこしているうちに、あっという間に食べ終わってしまった。
「フッ……まるで、パウンドケーキバキュームだな」
「バ、バキュームって、酷い! 高橋さん」
「やっと、元気になったな」
エッ……。
「歩き回った疲れも、少しとれたんじゃないか?」
高橋さん……。
パウンドケーキに夢中になっていて、忘れていた。
「ごめんなさい。私……」
「お前。何か、悪いことでもしたのか?」
コーヒーを飲みながら、高橋さんがこちらを見た。
「高橋さんに、ご迷惑ばかり掛けてしまって……。バッグの中身を盗られそうになったり、迷子になったり。挙げ句、知らない人に絡まれたりして。私、やることなすこと、全て駄目で……ごめんなさい」
言っているうちに泣きそうになり、慌ててコーヒーを飲んで誤魔化した。
先ほど、半分に割ったパウンドケーキを破って開いた紙袋を2等分にしてのせて、その1つを高橋さんの方に置いたが、それをまたこっちに引き寄せようと手を伸ばした。
エッ……。
手を伸ばしたのに、パウンドケーキには届かなかった。正確に言えば、届かなかったどころか更に遠くに行ってしまった。高橋さんが、素早く自分の方に引き寄せたから。
「あ、あの……」
「取るなよ、俺のパウンドケーキ半分」
はい?
「でも、それせっかく高橋さんが私に買って下さったのだから、やっぱり全部私が食べないと失礼かなと思って。だから、その……」
「いやーだ。1回貰ったものは、俺のものぉ」
「あっ!」
そう言うと、高橋さんは素早くパウンドケーキを口に入れた。
「やっぱり、いつ食べても旨いな」
満足そうに微笑んでいる高橋さんを見ていると、まるで子供のよう。
「あれ? お前、食べないの? 食べないなら、俺が食べてやろうか?」
「えっ? だ、駄目ですよ。今から食べるんですから」
慌ててパウンドケーキをのせていた紙袋を引き寄せ、手でガードしながら口に運んだ。
何、これ。
「お、美味しい! これ、凄く美味しいですね」
「だから、言っただろう? 旨いって」
「はい」
一口ずつ味わいたいのに、口に運ぶスピードが止まらない。
「そのガードしてる手は、何だ?」
こんな忙しい時に、邪魔をするように高橋さんに聞かれたが、それに応えている場合じゃない。うかうかしていたら、食べられてしまいそうだもの。
高橋さんに取られないようにガードしながらも、そうこしているうちに、あっという間に食べ終わってしまった。
「フッ……まるで、パウンドケーキバキュームだな」
「バ、バキュームって、酷い! 高橋さん」
「やっと、元気になったな」
エッ……。
「歩き回った疲れも、少しとれたんじゃないか?」
高橋さん……。
パウンドケーキに夢中になっていて、忘れていた。
「ごめんなさい。私……」
「お前。何か、悪いことでもしたのか?」
コーヒーを飲みながら、高橋さんがこちらを見た。
「高橋さんに、ご迷惑ばかり掛けてしまって……。バッグの中身を盗られそうになったり、迷子になったり。挙げ句、知らない人に絡まれたりして。私、やることなすこと、全て駄目で……ごめんなさい」
言っているうちに泣きそうになり、慌ててコーヒーを飲んで誤魔化した。

