「2人とも、元々自分のバッグも何も持っていない」
本当だ。バッグも何も持っていない。
「恐らく、ポケットに小銭と携帯電話ぐらいしか持っていないんじゃないか」
何で?
「どうして、何も持っていないんですか?」
「ん?」
うわっ。
そういうと、高橋さんは私のバッグをいきなり引っ張った。
「恐らく・・・・・・こういうこと」
エッ・・・・・・。
「隙あらば、旅行者、観光客のものを盗ろうと目論んでる連中かもしれなかったってことだ」
嘘。
「そのためには、自分達の荷物は邪魔だしショルダー等を持っていたりしたら逃げるときにも邪魔だし、そのショルダーを掴まれて捕まったりしたら大変だ。またその中身を見られて身元がバレても困るからな。勿論、こういうことは日本でも起こりうることだが、海外では日常茶飯事にこういうことは起きている。とかく人は買い物や風景に見入って身の回りのものに疎かになりがちだが、日本とは違うということを念頭に置いておかないと大変な事になりかねない。隙を見せれば、狙われる。さっき、お前がブーツを探すのに夢中になっているところを何処からか見ていたんだろうな。周りを見て1人だと思い、それで近づいてきた。しかし、お前が会話に乗らなかったので一旦は引いて様子を伺っていた。そこに俺が現れたので1人じゃないと分かったが、それが逆に有利に働くと考えたのかもしれない」
「有利に働くって。高橋さんが、いらっしゃったのに・・・・・・ですか?」
「人は1人の時より2人、3人になると、お互いがお互いに依存してしまう場合もある。だから、1人の時より緊張していない分、隙が出来る。そういうところを狙われるんだ」
「あっ! それで、高橋さんは私に座っているようにおっしゃったんですか?」
すると、高橋さんは黙って頷いた。
「バッグを膝の上に置いて座っていれば、肩から斜めがけしているうえに、膝の上にバッグがあればたとえ後ろから手を出そうと思っても、バッグの上に手を置いているからその分、引っ張っても直ぐに盗れる確立が低くなる。まして、お前が座っていた場所は後ろは壁だったしな」
高橋さんが話してくれている内容が、身近で起きていたのかもしれないとはとても実感出来ない。でも、何だか怖くなってしまった。
本当だ。バッグも何も持っていない。
「恐らく、ポケットに小銭と携帯電話ぐらいしか持っていないんじゃないか」
何で?
「どうして、何も持っていないんですか?」
「ん?」
うわっ。
そういうと、高橋さんは私のバッグをいきなり引っ張った。
「恐らく・・・・・・こういうこと」
エッ・・・・・・。
「隙あらば、旅行者、観光客のものを盗ろうと目論んでる連中かもしれなかったってことだ」
嘘。
「そのためには、自分達の荷物は邪魔だしショルダー等を持っていたりしたら逃げるときにも邪魔だし、そのショルダーを掴まれて捕まったりしたら大変だ。またその中身を見られて身元がバレても困るからな。勿論、こういうことは日本でも起こりうることだが、海外では日常茶飯事にこういうことは起きている。とかく人は買い物や風景に見入って身の回りのものに疎かになりがちだが、日本とは違うということを念頭に置いておかないと大変な事になりかねない。隙を見せれば、狙われる。さっき、お前がブーツを探すのに夢中になっているところを何処からか見ていたんだろうな。周りを見て1人だと思い、それで近づいてきた。しかし、お前が会話に乗らなかったので一旦は引いて様子を伺っていた。そこに俺が現れたので1人じゃないと分かったが、それが逆に有利に働くと考えたのかもしれない」
「有利に働くって。高橋さんが、いらっしゃったのに・・・・・・ですか?」
「人は1人の時より2人、3人になると、お互いがお互いに依存してしまう場合もある。だから、1人の時より緊張していない分、隙が出来る。そういうところを狙われるんだ」
「あっ! それで、高橋さんは私に座っているようにおっしゃったんですか?」
すると、高橋さんは黙って頷いた。
「バッグを膝の上に置いて座っていれば、肩から斜めがけしているうえに、膝の上にバッグがあればたとえ後ろから手を出そうと思っても、バッグの上に手を置いているからその分、引っ張っても直ぐに盗れる確立が低くなる。まして、お前が座っていた場所は後ろは壁だったしな」
高橋さんが話してくれている内容が、身近で起きていたのかもしれないとはとても実感出来ない。でも、何だか怖くなってしまった。

