「行きたいところに丸をつけろ。それによって回り方を考えるから」
「えっ? あの、高橋さんが行きたいところでいいですよ? 私は、見ても買うかどうかも分からないですし・・・・・・」
高橋さんが、ペンを差し出してくれたので何気なく受け取ってしまったのはいいが、此処に絶対行きたいというショップは思い当たらない。ただ、アウトレットに来たかったというか、見てみたかった気持ちが強いというか・・・・・・。
「いいから、遠慮するな」
「でも・・・・・・」
「俺は、何度も来てるから。そこに座って、ゆっくり見ていいぞ」
そう言うと、高橋さんは近くのベンチに私を誘った。
パンフレットを見ると、表紙にWOODBURY COMMONと書いてある。ニューヨークの郊外にある此処のアウトレットの名称らしい。隣に座った高橋さんは、バッグからタブレットを出して何やら検索をしていて、チラッと見たが画面表示が英語なので良く分からなかった。
パンフレットを広げて見ると、日本では高級ブランドとして名の通っているショップの名前が、まるで夢のように羅列してあった。
それにしても、高橋さんのスヌードとニット帽、暖かいな。流石にニット帽は少し大きくて、歩いているうちに目深に被りすぎて視界が悪くなってしまうので、高橋さんが縁のところを折り曲げてくれた。ベンチに座りながら、こっそり首を窄めてスヌードに鼻をつけてみると、高橋さんの香りがして自然とほっこりした気持ちになっている。
ハッ!
こんなことしている場合じゃなかい。早く行きたいお店を決めて、丸を付けなくちゃ。
ああ。でも、此処も行きたい。こっちも見たい。どうしよう・・・・・・なかなか決められない。早く決めなきゃいけないのに。
しかし、結局自分の知っているというか、行ってみたいショップに丸を付けていったらかなりの数になってしまった。
「あの・・・・・・出来ました」
恐る恐る、高橋さんに丸を付けたパンフレットを差し出した。
「ハハッ・・・・・・また随分、派手に付けたな」
うっ。
やっぱり、多すぎた?
「流石に全部は回りきれないと思うが、効率よく回ろう」
「すみません。何か、絞りきれなくていっぱい付け過ぎちゃいました。本当に、近くにあるショップだけでいいですから。高橋さんだって、行きたいショップもあると思いますので」
すると、高橋さんは優しく微笑むと、私が丸を付けたパンフレットを見ながら自分の持っていたパンフレットのアウトレット内の地図に印を付けていった。
「それじゃ、行こう。まずは、直ぐそこのブーツショップから行こうか」
「えっ? いいんですか? 私が行きたいショップからで」
「フッ・・・・・・俺も見たいんだけど」
「あっ。し、失礼しました」
高橋さんも見たかったんだ。それなら良かった。
何だか、安心してしまった。
「今ぐらいの時間なら、まだ空いてるから」
「そうなんですか?」
「ああ。ツアーとかバスで来る人達が到着する時間を外せば、まだ午前中は空いている」
そうなんだ。
高橋さんは何度か来ていると言っていたけれど、いろいろ詳しくてガイドさんみたいで頼もしいな。
「オッ! ちょうど商品並べているから、今のうちにお前も気に入ったのがあったらキープしておいた方がいい」
「は、はい。でも・・・・・・そんなには、私は買えない・・・・・・えぇっ! 70%OFFって? ど、どれが値段なんですか?」
興奮してしまい、思わず高橋さんに聞いてしまった。
「ん? ああ。ちょっと、見せて」
そう言うと、高橋さんはブーツの底を見た。
「えっ? あの、高橋さんが行きたいところでいいですよ? 私は、見ても買うかどうかも分からないですし・・・・・・」
高橋さんが、ペンを差し出してくれたので何気なく受け取ってしまったのはいいが、此処に絶対行きたいというショップは思い当たらない。ただ、アウトレットに来たかったというか、見てみたかった気持ちが強いというか・・・・・・。
「いいから、遠慮するな」
「でも・・・・・・」
「俺は、何度も来てるから。そこに座って、ゆっくり見ていいぞ」
そう言うと、高橋さんは近くのベンチに私を誘った。
パンフレットを見ると、表紙にWOODBURY COMMONと書いてある。ニューヨークの郊外にある此処のアウトレットの名称らしい。隣に座った高橋さんは、バッグからタブレットを出して何やら検索をしていて、チラッと見たが画面表示が英語なので良く分からなかった。
パンフレットを広げて見ると、日本では高級ブランドとして名の通っているショップの名前が、まるで夢のように羅列してあった。
それにしても、高橋さんのスヌードとニット帽、暖かいな。流石にニット帽は少し大きくて、歩いているうちに目深に被りすぎて視界が悪くなってしまうので、高橋さんが縁のところを折り曲げてくれた。ベンチに座りながら、こっそり首を窄めてスヌードに鼻をつけてみると、高橋さんの香りがして自然とほっこりした気持ちになっている。
ハッ!
こんなことしている場合じゃなかい。早く行きたいお店を決めて、丸を付けなくちゃ。
ああ。でも、此処も行きたい。こっちも見たい。どうしよう・・・・・・なかなか決められない。早く決めなきゃいけないのに。
しかし、結局自分の知っているというか、行ってみたいショップに丸を付けていったらかなりの数になってしまった。
「あの・・・・・・出来ました」
恐る恐る、高橋さんに丸を付けたパンフレットを差し出した。
「ハハッ・・・・・・また随分、派手に付けたな」
うっ。
やっぱり、多すぎた?
「流石に全部は回りきれないと思うが、効率よく回ろう」
「すみません。何か、絞りきれなくていっぱい付け過ぎちゃいました。本当に、近くにあるショップだけでいいですから。高橋さんだって、行きたいショップもあると思いますので」
すると、高橋さんは優しく微笑むと、私が丸を付けたパンフレットを見ながら自分の持っていたパンフレットのアウトレット内の地図に印を付けていった。
「それじゃ、行こう。まずは、直ぐそこのブーツショップから行こうか」
「えっ? いいんですか? 私が行きたいショップからで」
「フッ・・・・・・俺も見たいんだけど」
「あっ。し、失礼しました」
高橋さんも見たかったんだ。それなら良かった。
何だか、安心してしまった。
「今ぐらいの時間なら、まだ空いてるから」
「そうなんですか?」
「ああ。ツアーとかバスで来る人達が到着する時間を外せば、まだ午前中は空いている」
そうなんだ。
高橋さんは何度か来ていると言っていたけれど、いろいろ詳しくてガイドさんみたいで頼もしいな。
「オッ! ちょうど商品並べているから、今のうちにお前も気に入ったのがあったらキープしておいた方がいい」
「は、はい。でも・・・・・・そんなには、私は買えない・・・・・・えぇっ! 70%OFFって? ど、どれが値段なんですか?」
興奮してしまい、思わず高橋さんに聞いてしまった。
「ん? ああ。ちょっと、見せて」
そう言うと、高橋さんはブーツの底を見た。

