新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜

うっ。
高橋さんに、どうも心の内を読まれている?
「気をつけます・・・・・・」
「フッ・・・・・・頼むぞ」
笑いながら高橋さんはそう言うと車を降りたので、急いで降りた。
「さ、寒い」
「だよな・・・・・・」
エッ・・・・・・。
思わず、寒くて口に出してしまった私に相槌を打った高橋さんが、自分がしようとしていたスヌードを私の首に巻いてくれた。
「あの・・・・・・」
「いいからしてろ」
「高橋さん。でも・・・・・・」
「俺は帽子もあるから。あっ、帽子の方がいいか?」
そう言って、高橋さんは被ったばかりの帽子をとって私に被せてくれた。
「ハハッ・・・・・・似合うな。特別に、帽子も貸してやる」
「えっ? そ、それは困ります。此処で、高橋さんに風邪でもひかれたら大変ですから。あの、お返ししま・・・・・・うわっ!」
帽子を取ろうとすると、高橋さんに頭の上から押さえつけられてしまった。
「そっくり今の言葉、お前に返してやるよ」
はい?
「それにしても・・・・・・」
エッ・・・・・・何?
まじまじと高橋さんに顔を見られてしまい、恥ずかしくなってしまった。
「お前。意外と頭大きいんだな」
「はぁ?」
「プッ!」
あ、頭大きいって・・・・・・。
「ちょっと、高橋さん!」
詰め寄ろうとしたが、その前に高橋さんに走って逃げられてしまった。
「あっ、待って下さい」
こんな広いところで置いて行かれたら、堪ったもんじゃない。
急いで追い掛けると、入り口で高橋さんが待っていて下さい。
「ハァ、ハァ・・・・・・た、高橋さん。ハァ、ハァ・・・・・・お、置いて行かないで下さいよ」
「少しは、体が温かくなったか?」
「お、お陰様で」
「そりゃ、良かった」
でも、一気に体力使って疲れた感じ。
すると、高橋さんが近くにあったインフォメーションに行って、パンフレットを貰ってきてくれた。
「はい」
「ありがとうございます」
「丸をつけてくれ」
エッ・・・・・・。