新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜

昨夜の記憶を辿っていると、電話をしている高橋さんの声がまた聞こえた。
「良かった。今からメールを送るので、悪いがその内容を調べて月曜日にメールを貰えるか?・・・・・・ああ、そうだ・・・・・・」
リビング? それとも、高橋さんの部屋? 
どちらの部屋で話しているのか分からなかったが、仕事の話のような気がした。
「メールを送ったら、念の為にまた電話する。それじゃ、よろしく」
仕事の話のようだし、何かお手伝いした方がいいかもしれない。
先程の二の前にならないよう静かに起き上がり、急いで洗顔と身支度をして静かにドアを開けて部屋を出ると、リビングで高橋さんが真剣な顔をしてパソコン画面を見ていた。
こんな時、声を掛けていいものなのか憚られ、思わず立ち止まってしまっていると、そんな私に高橋さんが気づいて顔を上げた。
「おはよう」
「おはようございます」
「起こしちゃったか?」
「そんなことないです。あの、何かお手伝いすることはないですか?」
「ん?」
さっきまでの真剣な表情は消え、微笑みながらこちらを見た。
「じゃ、朝食作るか」
朝食?
そう言うと、高橋さんはノートパソコンの画面を閉じて立ち上がるとキッチンに向かったので慌てて後を追い掛けようとした途端、よろけて壁に手を突いてしまった。
その音に気づいたのか、高橋さんがキッチンから顔を出した。
「そう言えば、お前。二日酔いじゃないのか?」
うっ!
「そ、そんなことないですよ。痛っ・・・・・・」
無意識に首を横に振ってしまい、両手で頭を押さえた。
「だろうな」
二日酔いなのが、バレちゃった。
「あんな大胆なことするとは、ねぇ。陽子ちゃん?」
エッ・・・・・・。
あんな大胆なこと?
「あの・・・・・・私、何か高橋さんに失礼なことを・・・・・・しちゃったんですか?」
すると、高橋さんは笑いを堪えたような表情を一瞬見せた。
「さあ、どうでしょうねぇ?」
「ちょ、ちょっと、高橋さん。教えて下さい。イタタ・・・・・・」
「イタタって事は、やっぱり二日酔い?」
ハッ!