10月6日。朝の6時半。俺はキッチンで母さんと言い合っていた。

 冷蔵庫の前で立ちながら言い合う俺達を父さんが、腕組をしながら椅子に座って見ている。

「だから、結婚の話はもう終わったって言ってるだろっ!?」

「まだ、終わってないわ!!」
 
 言い合いをしていると、階段を下りてくる音が聞こえた。

 姉さんが起きてきたようだ。

 姉さんは、キッチンに入ってくるなり困った顔を浮かべる。

「ちょっと、朝から2人とも喧嘩やめなよっ!!」

「とにかく、一度でいいから聖川さんとデートなさい!」
「そしたら、絶対気が変わるから!!」

「変わんねぇよ!!」
「あんな超好みじゃねぇ奴、絶対誰が好きになるか!!」