バサッ!! 

 封筒から札束が飛び出て、その何枚かは床にひらひらと落ちる。

 わたしはパソコンの横に置いてある小説の案が書かれたノートを手に取ると、ビリビリと破り捨てた。

 床に散らばる紙屑。

 自分勝手なのは、わたしだあああああっ!!!!

 わたしの、
 ばかばかばかばかばかばかばかばかああああああああっ!!!!

 出てけ、とか、
 婚約者と幸せに、とか、
 心にもないことばっか言って!!!!

 謝れば済んだかもしれないのに、
 意地張ってプライド守るとか、

 ほんと、ばかっ!!!!

「ぅぅっ…………」

 わたしの両目からぽたぽたと大粒の涙が零れ落ちる。

 わたしはわたし自身で、今まで積み上げてきた蓮翔との大切な日々を壊した。

 壊したんだ。

 溢れ出した涙はとめどなく流れ、頬を濡らしていく。


 きっともう、二度と戻ることはないんだろう。


「わああああああっ……」


 わたしは切ない胸の痛みを感じながら、小さな子供みたいに泣き叫ぶ。

 この日を境に蓮翔が部屋に帰ってくることはなかった。