声が聞こえ、わたしはしゃがんだまま顔を上げる。
整った顔立ちをした茶髪の男子が立っていた。
その男子は、紺のブレザーの前ボタンを開けており、
チェックの水色ネクタイと白シャツが見え、
シックなグレンチェック柄のスラックスを穿き、
右肩には学生鞄をかけている。
赤の他人に突然話しかけられたので、わたしの目が点になる。
あれ?
どこかで見たような……。
う~ん、どこだっけ?
まぁ、いっか。
言葉が何も出てこなかったから、とりあえず、へらっと笑ってみせる。
「こんな雨の中、歩きは無理だな……タクシー、乗れそう?」
え?
タクシー?
「乗れる? 乗れない? どっち?」
「乗れるけど……あの……?」
「家まで送るよ」



