なんだよ、可愛いじゃねぇか。

 俺はぎゅうっと羽希を抱き締める。

「今すぐには無理だな」
「でもお前は天才なんだから大丈夫だ」

「蓮翔っ……」

 俺は抱き締めるのをやめると、しゃがんだまま羽希に背を向ける。

「乗れ」

「でもっ……」

「い~からっ」

 羽希は俺の首に手を回す。
 俺は羽希をおんぶして立ち上がる。

「栄養失調並みに軽いな」

「栄養失調並みって、嬉しくない……」

 俺は羽希をおんぶしたまま、ゆっくりと歩き出す。

「今日は星が綺麗だな」

「そ~だね」

 羽希は俺の首に両手を回したまま、夜空を見上げる。

「文章上手くなって、ぜったい、人気小説家になるっ!」

「ガンバレ、読まれない粉被り小説家さん♪」

「よ、読まれるシンデレラ小説家だもんっ!!」

 俺は夜空を見ながら、ふ、と笑う。


 お前ならいつか叶えられるよ、きっとな。