アタシはヒミコ

13才のイヨはいつの頃か

「神子(みこ)」

と呼ばれるようになっていた。

彼女が初めて神託を降したのは、三才の時だという。

長老のお供でサルタと二神山(ふたかみやま)に登った時、流れ行く雲を眺めながら、

「オト。夜更けにかなり強い嵐が来る!」

と叫んだ。

傍にいた長老は、その時のイヨの様子が神憑り的に見えたと述懐している。

果たして夜更けに強風と豪雨がやって来て村は土砂に埋まってしまった。

幸いに長老の指図で殆んどの村人が高台に避難して、数人の者が怪我をしただけで済んだ。