「今日は殺生する気にはなれないな。」

彼は村への近道(険しい崖)を下り始めた。

と・斜面の凹みに何やら光るものが除いていた。

「これは翡翠やな。トヨにやろう。」

トヨは村一番の器量良しの娘で、幼い頃からサルタとは何かにつれ一緒に
過ごした間柄だ。

村に戻ると、案の定、トヨが彼の無事を確かめるように駆けよって来た。

サルタは思わず抱き締めたくなるのを抑えて、懐から翡翠を取り出して彼女に見せた。

「今日は日輪が隠れるという不吉な日だったが、帰りに翡翠を見つけた。二つに割った一方だけど、貰ってくれないか。」

「とっても綺麗!
不思議な光を放つ石…
吸い込まれそうな魅力がある。
大事にするわ。有難う。
ところで、今日の天変は何かが起きる前触れの予感するわ!」

「俺もそう感じた。でもトヨは俺が護る。」

その天変の日から七日目の夜更け・・・

嵐が来て、大量の雨が川を氾濫させた。