私は軽く会釈をして、靴箱へ向かった。 整った顔のパーツは完璧な配置で、ストレートのサラサラな黒髪、まさに万人受けの爽やかイケメンって感じ。 彼を囲む女の子はどうせルックス重視。ひねくれた考えなのは分かってるけど、どうもいけすかない。 その時─────── 静かな廊下でバタバタと走る足音が向かってくる。 「ねぇ、待って…!琉依ちゃん……だよね?」 名前を呼ばれて私の足はピタリと止まる。 ゆっくり振り返ると、職員室で鉢合わせた彼の姿があった。