「……っ」
頭痛ぇ……。
それにしても、人間の時間感覚って案外適当だな……。
一回目の方が長く気を失ってた気がするし……。
目を開けると奏の顔。
なんか妙に赤いんだけど……。
「ん…どうかした……?」
と、奏はおもいっきり首を振って、
「い、いぃ、いや!べ、別になんでもないっすよっ!!」
いや、物凄いどもってるし。
しかもなんで敬語……。
「ね、ねっ?唯ちゃん?」
ふっと女装した悠飛さんの姿が目に浮かぶ。
う、気分が……。
「ゆい…さん?」
「いやいやいや、悠飛さんじゃないってば」
「ゆいちゃん?」
「うん。この子、唯ちゃん。私の従姉妹なんだ」
「……はい?」
「ほらっ、唯ちゃん。自己紹介っ!」
すると少女、唯ちゃんは、
「あ、うん…」
こっちに一歩近づいて、
「……結月唯…です」
それだけ言って奏の後ろに隠れていった。
俺、嫌われたかな…?
「で、なんでその唯ちゃんがここに……?」
「……さぁ?」
唯ちゃんの方を向いてみても、奏の後ろからじっとこっちを見てくるだけでわからない。

