恐る恐る、振り向いてみる。
そこには……。
背景に雷でも映っているのが相応しい程、
怒っている奏がいた。
「ちょ、ちょっと放っておいただけでそこまで怒んなくても……」
しかも先に放っておかれたのは俺の方だし……。
「あんた……」
あ、ぷるぷるしてる……。
これが笑い堪えて震えてるならどれほど嬉しいことだろ……。
どうにも怒りが収まりそうにないので、
とりあえず状況説明をしようと少女に目を戻す。
「ほら。この子……あ…」
そこにいるのは、
赤くなった頬に手を添えて、
濡れた瞳を瞬かせる少女。
奏に向き直り、様子を伺ってみる。
さっきより目が冷たくなってます……。
これ、確実に誤解されてるよね……?
とりあえず悠飛さん印の爽やか笑顔を作って、
「どうしたの?そんな顔しちゃ……」
「――」
どうやら、地雷を踏んだらしい。
「あんたって……」
奏、怒り最高潮。
少女が口を開く。
うろたえる俺。
「あんたってやつはぁぁああ!!」
「あぶな――」
「ちょっとま――」
――ゴィンッ
そして、
本日二度目の衝撃によって、二分ほど俺の意識は閉じられた。

