麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す

その15
祥子



おい、おい…、この夏はエライことになってきそうだぞ

「…そこでだよ。…来週末には三田村さんと紅組離脱グループ代表の片桐さん、そして、こっちから真樹子さんと私による4人の会合を持つ」

おい、おい、おい…!

マジかよ麻衣…、それ?

「…おそらくそこで、さっき祥子が言った”祭り”の合意が取り付ける。イコール、それは共闘だよ」

麻衣はきっぱり言ってのけたわ

「…」

「凄い!」

しばしの沈黙を破ったこの声の主は、久美だった

「その通り!」

私はすかさず、こう大きく一声を上げ、拍手したよ

これ以上ないくらい勢いよくね…

「そうよ、その通り!久美の言う通り!」

「同じく!」

真樹子さん、そしてリエも続いたぞ、ハハハ…


...



「…その後、リエには片桐さんと会ってもらいたい。”祭り”に際しての役割分担その他、全部任すからさ…。細々での”最良”を詰めてくれ。それ、今度の”ヤマ”では重要ポイントになると思うからさ。”現場”の諸々とかもあることだし、実際の走りの人間に委ねるしかない。カンにね…。頼むぞ、リエ…」

「ああ…、片桐さんとはじっくりやるさ。妥協できなくて、よんどころなくなったら、持っていくから。そっちに。私に”適当”はないから、安心しな」

麻衣の投げかけを受けたリエの言葉は力強かった

「ハハハ…、リエ。走りで暴れる場じゃあ、お前は誰にも遠慮することない。フォローは私がするからよ、4人衆だろうが創立幹部だろうが、絶対に引くな。いいな!」

ここで、私もエールを送ったよ

「ああ、言われるまでもない」

とにかく、こういう場面でのリエの自信はホンモノだ

負けず嫌いとかって安っぽいもんじゃなく、野生の舞台での凌ぎあいでも絶対って…、そこまでのレベルを感じるよ


...



「祥子、アンタは真樹子さんのもとに集った、まあ、ザコを含むその他大勢を仕切ってくれるか?時間はないが、可能な限り精鋭部隊に仕上げてもらいたいんだ」

「おお、いいねえ。だが、ぶったるんだヘナチョコはバシバシ切るぞ、いいな?最悪、そして誰もいなくなったもアリだ、ハハハ…」

「ああ、バンバンやってくれ。口の軽い野郎は舌ちぎるくらい懲らしめてやってくれよ、なあ…」

「フフ、舌じゃなく下でケジメつけてやるさ、そういう輩は。まあ、任せとけ」

「うん。…にそれで、久美!真樹子さんはこれから、ひっちゃかめっちゃか忙しくなる。汗ふきでも、厚化粧の手伝いでも、ああ…、この際、レズ相手でもいいや。週3とは言わず、泊まり込みでべったりついてヘルプして来い!」

「はい!はい!はい!はい!」

”ギャハハハ…”

久美のヤロー、ウチら4人にそれぞれ”はい!”だってさ…。傑作だって!

笑い死にさせるつもりかよ、麻衣と久美は…

とにかく、こりゃいいや

みんなギラギラだしね

この夏はウチらが太陽になりそうだっての…