麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す

その14
リエ



「実戦部隊はこんなとこなんだけど、例の”評判の良くない先輩”…、ああ、三田村さんね。この人物からは、我々の行動主旨に全面協力を取り付けてる。すでにその独特のルートで、さまざまな人材が集まりつつあるわ。まあ、詳細は追って報告するよ」

「…」(一同全員)

「アッハッハッ…!こりゃあ、えらい祭りが催せるぞー!」

ここで祥子が大口開けて笑い声をあげ、これまた大きな声で叫んだわ

”ハハハ…、アッハッハッ!”

続いて豹子が、そして真樹子さんと私も大声出して思いっきり笑ったわ

痛快ね、これ!


...



うん…?

ああ、久美だけはなんかひきつった顔して、遠慮がちの固い笑顔だわ

「久美、ここは大笑いする場面よ。遠慮なんかしないのよ!」

私は真樹子さん越しに久美へそう言葉を投げかけた

「ウフフ、そうよ、久美。何、借りてきた猫やってんのよ。いつもみたいにはじけなさいよ、私の妹なんだからさ、ハハハ…」

「はあ…」

「でもよう、久美はいいなあ…。これらの面々と折衝するところ、真樹子さんの側について直で立ち会えるんだもんな。凄いじゃんか、お前。ハハハ…」

真樹子さんはもとより、祥子も久美のポジションには理解を示しているのよね

無論、私もよ

これから私たちが起こそうとしているムーブメントは、何も腕っぷしで秀でたメンツだけでやれることではない

真樹子さんをサポートする人間も必要よ

北田久美は中長期に見て、その素質がある

豹子はいい目効きをしてるわ


...



今日で序章は終わった

いよいよ本編のステージに突入したってことよ

私たちは、しばしの間、その実感に浸っていた